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「請求書管理」には、自社が出す請求書(発行)と、取引先から受け取る請求書(受領)の2方向があります。経理の負担が重いのは圧倒的に後者です。
紙・メールPDF・Webダウンロードがバラバラに届き、担当者ごとに机の上や個人メールに滞留し、月末に一気に処理する——多くの中小企業がこの状態にあります。
さらに電子帳簿保存法により、メールで受け取ったPDFは電子のまま保存しなければならず、「紙は棚、PDFは共有フォルダ、一部は個人PC」という運用は要件を満たせません。
この記事では、受領した請求書を管理するシステムの選び方と主要5サービスの比較、月間受領枚数別のおすすめを解説します。
自社が発行する側の効率化は請求書発行システムの費用相場|発行件数別の料金目安と選び方をご覧ください。
ポイント
この記事でわかること:① 受領側の請求書管理でよくある3つの問題、② 選び方の3つの軸、③ 主要5サービスの料金比較、④ 月間受領枚数別のおすすめ、⑤ 導入の進め方
補足
本記事の料金は2026年8月時点で各公式サイトを確認した情報です。個別見積もりのサービスが多いため、具体的な金額は必ず各社にご確認ください。制度の個別判断は顧問税理士にご相談ください。
受領した請求書の管理でよくある3つの問題
支払承認のフロー自体を見直す場合は、ワークフローシステムの費用相場と比較|1人月500〜1,800円【2026年】もあわせてご覧ください。専用システムを買わずに済むケースも整理しています。
![[図解] 受領した請求書 3つの問題](https://gyomu-ai.com/wp-content/uploads/2026/08/infographic_ai_668_0.jpg)
① 届く経路がバラバラで、集約できていない
紙は郵送、PDFは各担当者のメール、一部の取引先はWebポータルからダウンロード。「どこに何が届いたか」を経理が把握できない状態では、月次の締めが遅れます。
② 支払漏れ・二重払いが起きる
受領から支払までが台帳(Excel)で管理されていると、担当者が持ったままの請求書が締め後に出てくる、同じ請求書が紙とPDFで二重に処理される、といった事故が起きます。
③ 電子帳簿保存法の要件を満たせていない
メールで受け取ったPDFを印刷して紙で保管するのは、電子取引の保存としては不十分です。
日付・金額・取引先で検索できる状態にして、電子のまま保存する必要があります。
注意
「うちは紙で保管しているから大丈夫」は逆に危険です。電子で受け取ったものを紙にして保存する運用は、電子取引データ保存の要件を満たしません。PDFが1通でも届いているなら、電子保存の仕組みが必要です。
請求書管理システムの選び方3つの軸
軸1:受領方法をどこまで代行してくれるか
| レベル | 内容 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 自社で取り込む | 紙はスキャン、PDFは転送で登録 | 月50枚以下・拠点1つ |
| 専用アドレス/代行受領 | 取引先の送付先をサービス側に変更。紙もサービス宛に届く | 月100枚以上・複数拠点 |
代行受領型は「取引先に送付先を変更してもらう」手間が発生しますが、いったん切り替われば経理の受け取り作業がゼロになります。
軸2:データ化の精度と方式
AI-OCRの読み取り精度は各社で差があります。「AI+オペレーターの目視確認」で99%以上の精度を保証するサービスもあれば、AI-OCRのみで安価なサービスもあります。月に数百枚を処理するなら精度、数十枚なら価格を優先するのが合理的です。
軸3:会計ソフト・支払データとの連携
最終的なゴールは「仕訳」と「振込データ」の自動作成です。
使っている会計ソフトに対応しているか、全銀形式の振込データ(FBデータ)を出力できるかを必ず確認してください。
ここが繋がらないと、結局手入力が残ります。
主要5サービスの比較【2026年8月時点】
| サービス | 料金 | 受領方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Bill One | スモールビジネスプラン:従業員100名以下・月間受領100枚以内なら無料/超過分は年額個別見積もり | 代行受領(紙・メールとも Bill One 宛) | ユーザー数・保管枚数の制限なし |
| invox受取請求書 | 月額基本料金 3,960円〜(ミニマムパック・税抜)+従量課金 | 専用アドレス・アップロード | 従量制で小規模から。会計連携が豊富 |
| バクラク請求書受取 | 要問い合わせ | アップロード・メール転送 | 読み取り速度と操作性に定評 |
| TOKIUMインボイス | 要問い合わせ | 代行受領+原本保管代行 | 紙の原本管理そのものを外部化 |
| 会計ソフト一体型(freee/マネーフォワード) | 会計プランに含む/一部オプション | アップロード・メール転送 | 追加コストを抑えられる |
Bill One:100名以下・月100枚までなら無料で始められる
Sansanが提供するサービスで、従業員100名以下の法人向けに「スモールビジネスプラン」があり、月間の受領枚数が100枚以内なら無料で利用できます(ユーザー数・保管枚数の制限なし)。
取引先からの請求書はBill One宛に届き、紙・メールを問わずデータ化されて一覧に集約されます。
中小企業にとっては「まず受領を集約する」目的で試しやすい選択肢です。
月100枚を超える場合は、受領枚数に応じた年額の個別見積もりになります。
invox受取請求書:従量課金で規模に合わせやすい
月額基本料金(ミニマムパックは月3,960円・税抜)+処理枚数に応じた従量課金という構成です。
プランはミニマム/ベーシック/プロフェッショナルの3種類。
会計ソフトとの連携先が幅広く、振込データの出力にも対応しているため、「受領〜仕訳〜支払」を一気通貫で自動化したい会社に向いています。
発行請求書・経費精算とパックにできるのも特徴です。
バクラク請求書受取/TOKIUMインボイス:処理量が多い会社向け
いずれも料金は個別見積もりです。バクラクは操作性と読み取りの速さ、TOKIUMは「紙の原本の受取・保管まで代行する」点が特徴で、月数百枚以上を扱う、あるいは原本保管のスペースをなくしたい会社が対象になります。
会計ソフト一体型:追加コストなしで始める
freeeやマネーフォワード クラウドには、受領した請求書をアップロード・メール転送で取り込み、証憑として保存しながら仕訳を起こす機能が備わっています(対応範囲はプランにより異なります)。
月間の受領枚数が50枚以下で、すでにクラウド会計を使っているなら、まずは会計ソフトの標準機能で十分というケースが少なくありません。
専用システムを追加する前に、自社のプランで何ができるかを確認してください。
月間受領枚数別のおすすめ
| 月間受領枚数 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 〜50枚 | 会計ソフト一体型 | 追加コストゼロ。証憑保存と仕訳が同じ場所で完結 |
| 50〜100枚 | Bill One(スモールビジネスプラン) | 100枚以内なら無料。受領の集約効果が大きい |
| 100〜300枚 | invox受取請求書 | 従量課金で規模に合う。会計・振込連携が強い |
| 300枚〜 | バクラク/TOKIUM | 読み取り精度・原本管理の代行を含めて検討 |
中小企業でまず考えるべきは「50枚以下=会計ソフトで足りる」「100枚前後=Bill Oneの無料枠」という2択です。
ここを飛ばして高機能なシステムを検討すると、費用と手間が過剰になります。
補足
判断に迷ったら、「請求書を受け取ってから支払うまでに何人が触っているか」を数えてください。3人以上(担当→上長→経理)が関わっているなら、承認フローのあるシステムを入れる価値があります。1人で完結しているなら会計ソフトで十分です。
導入の進め方(3ステップ)
請求書と同じタイミングで契約書の電子化も検討するなら、電子契約サービスの比較と費用相場|送信件数別の実額【2026年】で送信件数別の年額を計算しています。
![[図解] 請求書管理システム 導入3ステップ](https://gyomu-ai.com/wp-content/uploads/2026/08/infographic_ai_668_1.jpg)
ステップ1:受領経路を棚卸しする
「郵送で届く社数/メールPDFで届く社数/Webポータルからダウンロードする社数」を数えます。
メールPDFが1社でもあれば、電子取引データの保存対応が必要です。
ステップ2:集約先を1つに決める
紙・PDF・ポータルのすべてを「1つのシステムに集める」ことを最優先にします。
データ化の精度や仕訳の自動化はその次です。
集約されていないと、どんな高機能システムも効果が出ません。
ステップ3:支払データと仕訳を繋ぐ
集約が回り始めたら、振込データの出力と会計ソフトへの仕訳連携を設定します。ここまで繋がって初めて、月末の作業時間が実際に減ります。
紙の請求書が多く残る場合は、AI-OCRでの読み取りを併用すると効果的です。
仕組みはAI-OCRで請求書・領収書を自動処理する方法で解説しています。
よくある質問
Q. 受領した請求書はどれくらい保存する必要がありますか? A. 法人税法上、原則として7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)の保存が必要です。
電子取引データは電子のまま、検索できる状態で保存します。
詳しくは電子帳簿保存法対応の会計ソフトおすすめ比較をご覧ください。
Q. 紙の請求書はスキャンして捨てていいですか? A. スキャナ保存の要件(解像度・タイムスタンプまたは訂正削除履歴の確保など)を満たせば原本の廃棄は可能です。要件を満たしていない状態で捨てると保存義務違反になるため、判断は顧問税理士に確認してください。
Q. インボイス制度の確認作業も自動化できますか? A. 主要サービスは登録番号の記載チェックや適格請求書の要件確認を支援する機能を持っています。
ただし最終判断は人が行う前提の設計が一般的です。
Q. 会計ソフトを変えずに導入できますか? A. できます。
invoxやバクラクは複数の会計ソフトに対応しています。ただし連携できる範囲(仕訳の自動作成まで/CSV出力まで)はソフトごとに異なるため、契約前に自社の会計ソフト名を挙げて確認してください。
まとめ:まず「集約」、次に「自動化」
- 請求書管理の負担が重いのは受領側。紙・PDF・ポータルが分散しているのが根本原因
- 選び方の軸は①受領方法の代行範囲 ②データ化の精度 ③会計・振込連携
- 月50枚以下なら会計ソフト一体型で追加コストゼロ
- 月100枚前後ならBill Oneのスモールビジネスプラン(100名以下・100枚以内は無料)
- 月100〜300枚はinvox受取請求書、300枚以上はバクラク・TOKIUMを検討
- 導入は「集約 → 支払・仕訳の連携」の順。集約せずに自動化しても効果は出ない
自社が発行する側の効率化は請求書発行システムの費用相場、電子化の全体像は請求書の電子化の進め方|中小企業の5ステップをあわせてご覧ください。