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請求書の電子化は「発行(自社が出す)」から着手するのが正解です。受領(取引先から受け取る)側は相手の都合に左右されますが、発行側は自社の判断だけで today から変えられます。発行を電子化するだけで、印刷・押印・封入・投函・保管という5つの作業がまとめて消えます。
「電子帳簿保存法もインボイスも対応しないといけないのは分かるが、何から手を付ければいいか分からない」——中小企業でいちばん多い状態です。
実際には、やることは5ステップに整理でき、最短で2〜3週間で移行できます。
この記事では、請求書電子化の進め方を5ステップに分けて解説し、そのまま使える取引先への案内文例、つまずきやすいポイント、費用の目安までまとめます。
ポイント
この記事でわかること:① なぜ「発行側」から始めるのか、② 電子化の5ステップ、③ 取引先への案内メール文例、④ 紙を求められた場合の対処、⑤ 費用の目安と電帳法の保存要件
補足
制度の一般的な考え方を実務目線で整理したものです。個別の税務判断は顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。
なぜ今、請求書の電子化なのか
理由は3つあります。
① 郵送コストが積み上がっている 1通あたり切手84〜110円+封筒・用紙・インクで、月50通なら年間7万円前後。
ここに封入作業の人件費(1通5分×50通=月4時間強)が乗ります。
② 電子帳簿保存法で「電子で受け取ったものは電子で保存」が必須になっている メールでPDFの請求書を受け取った場合、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。
すでに電子データが混在しているなら、電子前提の運用に統一したほうが管理はシンプルです。
③ インボイス制度で記載事項のチェックが増えた 登録番号・税率ごとの区分・端数処理など、手作業では確認漏れが起きやすい項目が増えました。
システムで発行すれば、この確認は自動化できます。
注意
逆に「電子化=ただPDFをメールで送ること」ではありません。PDFをメール送付するだけでは、控えの保存要件(検索性・改ざん防止)を満たせないことがあります。ここが中小企業のつまずきポイントです。
請求書電子化の5ステップ
![[図解] 請求書電子化の5ステップ](https://gyomu-ai.com/wp-content/uploads/2026/08/infographic_ai_666_0.jpg)
ステップ1:現状を数える(所要1日)
まず次の3つを数えます。ここを飛ばすとツール選定を間違えます。
| 数えるもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 月間の発行通数 | 料金プラン(件数課金型か定額型か)が決まる |
| 郵送している通数の割合 | 郵送代行が必要かどうかが決まる |
| 請求書を作成・確認している人数 | ユーザー数の無料枠に収まるかが決まる |
「月50通・うち郵送30通・担当2名」のように具体化できれば、次のステップは一気に進みます。
ステップ2:ツールを選ぶ(所要2〜3日)
選択肢は大きく3つです。
| タイプ | 費用の目安 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 請求書専用サービス | 年8,800円〜33,500円程度 | 月10〜100通。会計ソフトは変えたくない |
| 会計ソフト一体型 | 会計プランに含む | 会計と一体で「発行→計上→消込」を繋げたい |
| 大量発行・郵送代行型 | 初期11万円+月2.75万円〜 | 月300通以上、郵送・FAXが残っている |
月10〜100通の中小企業なら、請求書専用サービスか会計ソフト一体型の二択です。
詳しい料金比較は請求書発行システムの費用相場|発行件数別の料金目安と選び方にまとめています。
発行通数が少なく、まず請求書だけを電子化したい場合はMisocaが扱いやすい選択肢です。
すでにクラウド会計を使っている、または会計ごと見直す予定があるなら、一体型のほうが総額は安くなります。
ステップ3:社内ルールを決める(所要1日)
ツールより先に決めるべきはルールです。
最低限、次の4点を紙1枚にまとめます。
- 誰が作成し、誰が承認するか(承認者不在時の代理は誰か)
- 送付方法の基準(原則メール、郵送は例外としてどの取引先か)
- 締め日と送付期限(月末締め・翌月3営業日以内に送付、など)
- 控えの保存場所(システム内で完結させる。ローカル保存は禁止)
ポイント
「ローカルPCにPDFを保存しない」を最初に決めるのが重要です。ここが崩れると、検索要件を満たせないファイルが社内に散らばり、電帳法対応が振り出しに戻ります。
ステップ4:取引先へ案内する(所要1〜2週間)
![[図解] 取引先への案内で必ず書く3点](https://gyomu-ai.com/wp-content/uploads/2026/08/infographic_666_roi.jpg)
最大の関門です。全取引先に一斉送信せず、影響の大きい先から個別に連絡するのが定石です。
案内では次の3点を必ず書きます。
#### そのまま使える案内メール文例
補足
件名:【○○株式会社】請求書の電子化(メール送付への切替)のご案内
> >平素より大変お世話になっております。○○株式会社の△△です。 > >このたび弊社では、業務効率化および電子帳簿保存法への対応の一環として、○年○月ご請求分より請求書をメールにて送付させていただくことになりました。 > >■ 送付方法:PDFファイルをメールに添付してお送りします >■ 送付元アドレス:invoice@example.co.jp >■ 件名の形式:「【○○株式会社】○年○月分ご請求書」 >■ 送付先:貴社ご担当者様のメールアドレス(変更が必要な場合はご返信ください) > >なお、社内規程等により書面での受領が必要な場合は、お手数ですが本メールへご返信ください。
従来どおり郵送にて対応いたします。 > >ご不明な点がございましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。 >今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
「紙が必要なら言ってください」と先に書いておくのがコツです。
選択肢を残すことで反発が減り、結果的に9割以上がメール受領に移行します。
ステップ5:運用開始と保存要件の確認(所要1日)
切替月の初回発行後、次の3点を確認します。
- 控えが検索できるか(「日付・金額・取引先」で絞り込めるか)
- 訂正・削除の履歴が残るか(またはタイムスタンプが付与されるか)
- 会計側に反映されているか(売掛金として計上され、入金消込ができるか)
電子帳簿保存法で求められるのは「見つけられること」と「改ざんされていないこと」の2点です。
詳しくは電子帳簿保存法対応の会計ソフトおすすめ比較で解説しています。
つまずきポイントと対処法
「取引先の都合で紙が残る」という壁は契約書でも同じように起きます。電子契約側の進め方と費用は電子契約サービスの比較と費用相場|送信件数別の実額【2026年】をご覧ください。
![[図解] 電子化のつまずきポイントと対処](https://gyomu-ai.com/wp-content/uploads/2026/08/infographic_ai_666_1.jpg)
①「紙で送ってほしい」と言われた
全社一律の電子化にこだわらないこと。
郵送代行機能のあるサービスなら、システム上で「この取引先は郵送」と設定するだけで、封入・投函は代行されます。自社の作業は増えません。
1通あたり150〜200円程度が目安です。
② 押印を求められた
電子印影(画像)で足りるケースがほとんどです。請求書に押印の法的義務はありません。
取引先の社内規程で必要な場合は、電子印影を付ける設定にすれば対応できます。
③ 受領した請求書の処理が追いつかない
発行が片付いたら、次は受領側です。メール受領のPDFは、印刷せずそのままシステムに保存する運用に切り替えます。
紙で届く請求書はスキャンして保存しますが、AI-OCRを使えば読み取りと仕訳の下書きまで自動化できます。
詳しくはAI-OCRで請求書・領収書を自動処理する方法をご覧ください。
④ 社内で運用が定着しない
原因はたいてい「例外処理のルールが決まっていない」ことです。
締め日後の追加請求、金額訂正、取引先の担当者変更——この3つの手順を最初に決めておくと、現場が止まりません。
費用の目安:初期0円・月2,800円から始まる
発行側のサービスをMisocaとfreee請求書で迷う場合は、Misocaとfreee請求書はどっちを選ぶ?通数別の料金比較【2026年】が判断材料になります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 初期費用 | 0円(クラウド型の場合) |
| 月額(月10〜100通) | 年8,800〜33,500円(月換算 約730〜2,800円) |
| 会計ソフト一体型 | 会計プランに含む(追加費用なし) |
| 郵送代行 | 1通150〜200円程度 |
月50通・郵送30通の会社なら、システム代 月2,800円+郵送代行 4,500〜6,000円で、合計月7,300〜8,800円程度。
従来の切手・封筒代(約3,300円)と封入作業4時間(人件費8,000円相当)と比べると、作業時間ゼロで実質同額かそれ以下になります。
補足
郵送が多い会社ほど「郵送代行を含めても割に合う」構図になります。コスト削減より先に、経理担当の月末の残業が消えることの効果が大きいと考えてください。
よくある質問
Q. PDFをメールで送るだけではダメですか? A. 送付自体は可能ですが、自社が発行した請求書の控えも電子で保存し、検索要件を満たす必要があります。
メール送信フォルダに残すだけでは要件を満たさない可能性が高いため、システム上に控えが残る形にするのが安全です。
Q. 取引先が電子インボイス(Peppol)に対応していないと困りますか? A. 中小企業間の取引では、PDFのメール送付でも適格請求書として問題ありません。
Peppol対応は大企業との取引で求められることがある程度で、必須ではありません。
Q. 電子化したら紙の請求書は捨てていいですか? A. 自社が発行した控えを電子で保存していれば、紙の控えは不要になります。
ただし受領した紙の請求書をスキャンして原本を廃棄する場合は、スキャナ保存の要件(解像度・タイムスタンプ等)を満たす必要があります。
判断に迷う場合は顧問税理士に確認してください。
Q. 全社的なペーパーレス化まで一気に進めるべきですか? A. 請求書 → 領収書・経費精算 → 契約書、の順が現実的です。いちばん通数が多く、毎月必ず発生する請求書から着手するのが最短ルートです。
経費精算まで含めた費用感は経費精算システムの費用相場を参考にしてください。
なお電子化を進めると電子帳簿保存法の保存要件が関わってきます。何をどこまで対応すればよいかは電子帳簿保存法の対応手順|中小企業が最低限やるべき5ステップで整理しています。
まとめ:発行側から、5ステップで2〜3週間
- 電子化は「発行」から着手する(自社の判断だけで進められる)
- ステップは①現状を数える ②ツール選定 ③社内ルール ④取引先へ案内 ⑤保存要件の確認
- 取引先案内では切替月・届き方・紙が必要な場合の窓口の3点を明記する
- 「紙で」と言われたら郵送代行機能で対応(自社の作業は増えない)
- 費用は初期0円・月2,800円程度から。郵送代行は1通150〜200円
- 電帳法で問われるのは「検索できること」と「改ざんされていないこと」
システムの選定は請求書発行システムの費用相場と法人向け請求書発行システム比較を、会計ソフトごと見直す場合は会計ソフトの費用相場|中小企業の月額料金と選び方をあわせてご覧ください。