「AIツールを導入したいけれど、費用が心配」「補助金が使えると聞いたけど、何が対象なのかわからない」――そんな悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、中小企業がAIツールを導入する際には、複数の補助金・助成金を活用できます。うまく使えば、導入コストを最大2分の1以下に抑えることも可能です。
この記事では、2026年時点で中小企業が利用できる主な補助金・助成金の種類と活用方法を解説します。申請の流れや注意点もあわせて紹介するので、はじめて補助金申請を検討している方もぜひ参考にしてください。
ポイント
この記事でわかること:① AI導入に使える補助金の種類と概要、② IT導入補助金・ものづくり補助金・持続化補助金それぞれの特徴、③ 申請の流れと注意点
メモ
本記事の補助金情報は2026年5月時点の公開情報をもとにしています。補助金の公募要領・対象ツール・補助率は年度によって変更される場合があります。申請前に必ず各補助金の公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。
中小企業がAI導入に使える補助金・助成金の種類
AI導入に活用できる主な補助金・助成金は以下の3つです。
| 補助金名 | 補助上限額 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 最大450万円 | 1/2〜3/4 | ITツール全般(SaaS・AI含む) |
| ものづくり補助金 | 最大1,250万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・デジタル化 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 最大200万円 | 2/3 | 小規模事業者の販路開拓・DX |
それぞれ対象となる企業規模・用途・申請窓口が異なります。以下で詳しく解説します。
IT導入補助金2025の概要と対象AIツール
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、導入費用の一部を国が補助する制度です。経済産業省が管轄し、毎年公募が実施されています(2025年度分は「IT導入補助金2025」として公募中)。
AIツール・SaaSクラウドサービスも補助対象に含まれており、業務効率化や生産性向上につながるツール導入に幅広く活用できます。
補助枠の種類
IT導入補助金には複数の補助枠があります。
| 枠の種類 | 補助上限額 | 補助率 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円〜450万円 | 1/2以内 | 一般的なITツール導入 |
| インボイス枠 | 最大80万円 | 3/4以内 | インボイス対応ソフト(会計・受発注等) |
| セキュリティ対策推進枠 | 最大100万円 | 1/2以内 | サイバーセキュリティ対策 |
| 複数社連携IT導入枠 | 最大3,000万円 | 1/2〜2/3 | 複数の中小企業が連携して導入 |
AIツールで対象になるものの例
IT導入補助金の対象ツールは「IT導入支援事業者」が登録したものに限られます。2026年5月現在、以下のようなカテゴリのAIツールが対象となっている例があります(年度・公募によって変わる場合があります)。
- AI議事録ツール(会議の記録・要約自動化)
- AIライティング支援ツール(文書・メール作成補助)
- AIチャットボット(カスタマーサポート自動化)
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
- クラウド型業務管理ツール(kintone等)
メモ
対象ツールはIT導入支援事業者のページで確認できます(IT導入補助金公式サイト)。利用したいツールのベンダーが「IT導入支援事業者」として登録されているかを先に確認することが重要です。
ものづくり補助金でAIツールは対象になるか?
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者が革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資・システム開発に対して補助する制度です。
通常枠では最大1,250万円(補助率1/2〜2/3)の補助を受けられます。
AIツール・システム開発は対象か
ものづくり補助金では、AIシステムの開発・導入が対象になるケースがあります。ただし、「市販のSaaSをそのまま契約する」だけでは対象外になることが多く、以下のような要件が求められます。
- 革新的なサービス・製品開発につながること
- 生産性向上の効果が数値で示せること
- 既存業務の抜本的な改善であること
市販AIツールの月額契約料はそのままでは対象外になりやすいため、「AI活用の仕組みを自社向けにカスタム開発する」「AI導入によって新サービスを開発する」といったプロジェクト設計が必要です。
メモ
ものづくり補助金は年複数回の公募があり、公募要領は毎回更新されます。詳細は中小企業庁の公式サイトをご確認ください。
小規模事業者持続化補助金との組み合わせ方
持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者が販路開拓・業務効率化に取り組む際に活用できる補助金です。商工会・商工会議所が窓口となります。
通常枠で最大50万円(補助率2/3)、特例枠(創業・後継ぎ等)では最大200万円まで補助されます。
AIツール導入への活用方法
持続化補助金は「販路開拓」が主目的ですが、業務効率化経費も一定割合で認められるため、以下のようなAIツール導入費用に活用できる場合があります。
- ホームページ制作・Webマーケティングで使うAIライティングツール
- チャットボット導入による顧客対応効率化
- SNS運用・コンテンツ作成補助ツール
ポイント
持続化補助金は「販路開拓目的でのAIツール導入」と整理すると申請しやすい。IT導入補助金と用途・対象が異なるため、どちらが自社の目的に合っているかを比較してから申請を検討しましょう。
複数補助金の組み合わせは可能か
IT導入補助金と持続化補助金は、同一のツール・費用に対して二重申請はできません。ただし、用途が異なる複数のツール導入であれば、それぞれ異なる補助金を活用することは可能です。申請前に各窓口(IT導入支援事業者・商工会議所等)に相談することをおすすめします。
補助金申請の流れと必要書類
補助金の種類によって申請手続きは異なりますが、共通する大まかな流れは以下の通りです。
Step 1: 自社の要件確認(1〜2週間)
公募要領を確認し、自社が対象業種・規模に該当するかを確認します。IT導入補助金であれば「gBizID プライム」アカウントの取得が必要です(取得まで数週間かかる場合があるため早めに準備を)。
Step 2: 導入するITツール・支援事業者の選定(2〜4週間)
IT導入補助金の場合は、補助金対象として登録されているIT導入支援事業者と連携します。ツール選定から交付申請まで、支援事業者がサポートしてくれます。
Step 3: 申請書類の作成・提出(1〜2週間)
事業計画書・見積書・財務書類等を準備し、電子申請システム(Jグランツ)から提出します。
Step 4: 採択通知・発注・導入(1〜2ヶ月)
採択が通知されてから、ツールの発注・契約・導入を行います。採択前に発注してしまうと補助対象外になるため注意が必要です。
Step 5: 実績報告・補助金受領(導入後1〜2ヶ月)
導入完了後に実績報告を提出し、審査通過後に補助金が振り込まれます。
メモ
補助金は「後払い」が基本です。一時的に全額を自己負担してから補助金が入金されるため、資金繰りを考慮した計画を立てることが重要です。
AI導入で補助金を受けるときの注意点
注意点1:採択は確実ではない
補助金は申請すれば必ず受け取れるものではありません。審査の結果、不採択になる場合もあります。採択率は補助金の種類・公募回・競争状況によって異なります(一般的に30〜60%台)。
「補助金がもらえる前提」で計画を立てず、自己負担でも導入できる計画を併せて検討しておくことをおすすめします。
注意点2:補助対象経費の範囲を事前確認
補助金ごとに「補助対象経費」の範囲が明確に定められています。月額サブスクリプション料が対象になる場合でも、期間制限(例:最初の1年分のみ)がある場合があります。
注意点3:採択後の書類管理
採択後も実績報告・支払い証明・検査への対応が求められます。関連書類(請求書・領収書・銀行振込明細等)は補助事業の完了後も数年間保管が義務付けられています。
注意点4:「補助金コンサル」への注意
補助金申請代行を謳うサービスの中には、成功報酬型で高額な費用を請求するケースがあります。IT導入補助金であれば、IT導入支援事業者が申請サポートを行うため、過度に高額な代行サービスに頼る必要はありません。
まとめ
中小企業がAIツール導入に活用できる補助金は複数あり、うまく使えば導入コストを大幅に抑えられます。
ポイント
まず検討すべきはIT導入補助金(対象ツールが幅広く、申請サポートがある)。小規模事業者なら持続化補助金も選択肢。ものづくり補助金はAIシステムのカスタム開発を伴うプロジェクト向け。
補助金申請で特に重要なのは以下の3点です。
- gBizIDプライムを早めに取得する(IT導入補助金の前提条件)
- 採択前にツールを発注しない(補助対象外になる)
- 補助金は後払いのため、一時的な資金繰りを確認する
まずは自社が利用したいAIツールが補助金対象かを確認し、IT導入支援事業者や商工会議所の窓口に相談することから始めてみましょう。